神戸簡易裁判所 昭和60年(ハ)67号 判決 1985年8月28日
原告
株式会社ジャパンファイナンス
右代表者
村元佑次
右訴訟代理人
丸山修
被告
椿郁苑
主文
一 原告の請求を棄却する。
二 訴訟費用は原告の負担とする。
事実および理由
一 請求の趣旨
被告は、原告に対し、金一七万八七〇〇円および内金一六万七三六〇円に対する昭和六〇年一月一日以降支払ずみまで年三六パーセントの割合による金員を支払え。
二 請求原因の要旨はつぎのとおりであつて、(一)、(四)、(五)の各事実は当事者間に争いがなく、(二)、(三)、(六)の各事実は<証拠>によつて認めることができる(なお、支払命令送達の翌日が昭和六〇年一月一日であることは記録上あきらかである)。
(一) 原告は、割賦購入あつせんを目的とする会社である。
(二) 原告は、被告との間で、昭和五八年一二月二七日左記要旨の契約を締結した。
1 被告は、原告に対し、別紙商品代金を別紙販売店へ立替払することを委託する。
2 被告は、原告に対し、別紙のとおり右商品代金相当額に手数料を加えた額を割賦支払う。
3 被告が右割賦金の支払を遅滞し、原告から二〇日以上の期間を定めてその支払を催告されたのにその期間内に支払わなかつたときは期限の利益を失う。
4 遅延損害金の割合を年三六パーセントとする。
(三) 原告は、別紙販売店に対し、昭和五九年一月一五日右商品代金を立替払した。
(四) 原告は、被告に対し、昭和五九年七月二一日に到達した書面で二〇日の期間を定めて未払割賦金の支払を催告したが、右期間内に支払がなかつた。
(五) 被告の既払額は金九万九七六〇円(立替金八万四六四〇円、手数料金一万五一二〇円)である。
(六) 期限未到来分手数料は金一万八九〇〇円である。
(七) よつて、原告は、被告に対し、つぎの金員の支払を求める。
1 立替金残金一六万七三六〇円
2 未払手数料金一万一三四〇円
3 右一六万七三六〇円に対する支払命令送達の翌日の昭和六〇年一月一日以降支払ずみまで約定利率年三六パーセントの割合による遅延損害金
三 被告の抗弁の要旨は、つぎのとおりであつて、抗弁事実は<証拠>によつて認めることができ、抗弁は理由がある。
「かりに、本件立替払契約の成立が認められるとしても、
(一) 販売店であるベルギーダイヤモンド株式会社(以下「訴外会社」という)と被告間の本件ダイヤモンドの売買契約は、右商品の販売に名を借り、無限連鎖講の防止に関する法律二条所定の金銭配当組織類似の方法によりなされたものであつて、公序良俗に反し、無効である。
(二) 原告および訴外会社は、いわゆる豊田商事グループの系列会社であつて、経済的に密接な連繋関係があり、かつ、原告、訴外会社、被告の三者間に本件ダイヤモンドを目的とする一個のクレジット販売契約が締結されており、本件売買契約と本件立替払契約との間には一体的な関係があるから、被告は、訴外会社に対する本件売買契約上の前記抗弁をもつて原告に対抗しうる。」
四 よつて、原告の請求は理由がない。
(裁判官片山 寛)